会社分析のポイント(1)~商号・本店所在地・電話番号・従業員数~

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会社分析のポイント(1)~商号・本店所在地・電話番号・従業員数~

                                     リスクモンスター株式会社 メルマガ事務局
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 <CONTENTS>
   ■与信管理講座「企業の評価ポイント」(第1回)
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      ◆◆関連部署等にもご回覧頂き、基礎知識の習得にお役立て下さい。◆◆
    ◇◇バックナンバーは、画面右の「最近の記事」からご覧になれます。◇◇
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            ~与信管理講座「企業の評価ポイント」~     
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書籍『日本を元気にするリスモン式与信管理力』(2010年4月発行)をもとに
会社分析の評価ポイントを6回にわたりご説明してまいります。


第1回:会社分析のポイント(1)

皆さんは会社分析と聞いてどのようなことを思い浮かべますか?おそらく決算書などの
財務情報に代表される財務分析を頭の中に思い浮かべる方が多いと思います。
与信管理における会社分析では、その会社の業績が良いか悪いかの判断はある程度
できますが、最終的に倒産するかどうかの判断ができるかとなるとそれはまた別の話と
なります。
最終的に倒産の引き金となるのは、むしろ数値化しにくい定性情報であることが多いの
です。

そこで本講座では、【図表1-1】の15項目の企業情報をどう評価したらよいか、
ポイントを説明してまいります。

【図表1-1】

①商号

a. 商号の不一致はないか?
把握している会社名と正式な商号とで違いはないか?まずはそれを確認することから
始めてみましょう。自社で受取った名刺や注文書に記載されている会社名が企業ホーム
ページや電話帳、商業登記簿に載っている商号とまったく同じであれば問題はありませんが、
少しでも違っていた場合、次のことが考えられます。

Ⅰ 単なる表記間違い
Ⅱ 商号変更が名刺や注文書などにまだ反映されていない
Ⅲ 完全に社名を偽って取引をしようとしている

商号が違っている場合、対象となる会社の担当者に原因を聞いて確認を取りましょう。
Ⅰであれば問題ありませんが、ⅡとⅢの場合は注意が必要です。
Ⅱの場合、その会社はたびたび商号変更を実施しているという可能性があります。
一度倒産した経歴のある会社が倒産の事実をわかりにくくするために商号変更を繰り
返している可能性や、売主からの商品を騙し取る目的で(取込詐欺やパクリ屋といいます)
既に営業活動実態のない休眠会社を買い取って近づいている可能性も考えられます。
そのため、このような会社は、きちんと正式な商号で対応している会社よりも低い評価を
せざるを得ないのです。
また、Ⅲのように明らかに存在しない会社の場合、はっきりと「おかしい」ということになり
ますので、与信取引はしないことにしましょう。

b.継続取引の場合
では、以前から取引のある会社の場合はどうしたらよいでしょう?この場合も、半年~1年に
1回は定期的に企業ホームページ、電話帳、商業登記簿で商号変更がないか確認をしましょう。
もし、継続取引が発生しているにも関わらず商号変更の連絡が取引先の担当者などから
無い場合、取引詐欺集団のようなたちの悪い手合いに乗っ取られたなどというケースも考えられます。
ですから、やはりきちんと商号変更の連絡がきている取引先よりも低い評価をせざるを得ません。

【チェックポイント】
● 把握している会社名と企業ホームページおよび商業登記簿の商号に不一致はないか?
● 3年以内に複数回の商号変更はなかったか?


②本店所在地

a. 本店所在地は一致しているか?
商号と同様に、企業ホームページ、電話帳、商業登記簿で確認した本店の所在地と
名刺に記載されている住所や実際のオフィスのある所番地が一致しているか確認して
みてください。不一致の場合は、先方企業の担当者に確認してみましょう。
ここでも単なるうっかり間違いであれば問題ありませんが、頻繁に本店を移転していたり、
意図的に先方が本店所在地を一致させていない場合は慎重に評価する必要があります。
本店所在地が頻繁に移転している場合、休眠会社を買い取ってあたかも現在の所在地で
何年も営業してきたかのように装い取込詐欺をたくらんだり、倒産歴を隠すために頻繁に
移転しているケースも考えられるからです。
ただし、業歴の長い大企業などには、「実態はもはやなくなったけれども、創業の地を
登記上の本店所在地としている」ということもありますので、こうしたケースは例外的に
扱う必要があります。

b.本店所在地の地価を評価する
時間とコストに余裕がある場合には、本店所在地の地価評価にもチャレンジしてみましょう。
まず不動産登記簿の甲区に書かれている所有者を確認します。この所有者が対象企業で
ある場合、その会社が所有している土地の資産価値を調べることができます。

例)対象企業が社有の本社ビルを所有。土地が200㎡、路線価20万円とします。
この場合の土地の地価は、200㎡×20万円=4千万円となり、少なくとも4千万円の時価が
ある土地を保有していることがわかります。つまり、4千万円前後の資金調達をする財産的な
余力があると評価できるわけです。
ただし、不動産が既に銀行などに担保として取られてしまっていると話が変わります。
不動産登記簿の乙区の所有権以外の項目を確認してみましょう。乙区に根抵当権などの
担保設定がある場合には、【権利者その他の事項】の項目で担保設定金額を確認し、
時価から担保設定金額の合計額を差し引いて、土地の時価を評価する必要があります。
先ほどの例で言えば、乙区に根抵当権3千万円の設定がされている場合、土地の時価は
4千万円なので、実際に銀行から借り入れられる金額は、4千万円―3千万円=1千万円と
なってしまいます。
このように、土地の時価は担保設定されている金額を差し引いた後に残っている残存価値で
評価します。

c.継続取引の場合
継続的な取引先の場合でも、少なくとも年に1回は不動産登記簿を確認して、時価評価の
更新や新たな担保設定がないかなどの確認を行いましょう。もし、変更があった場合には
評価を見直すなど、継続的な与信管理を実践していくとよいでしょう。

【チェックポイント】
● 把握している本店所在地とホームページの本店所在地、商業登記簿の本店所在地に
 不一致はないか?
● 本店所在地は社有地か?
● 本店所在地が社有地の場合、根抵当権などの担保設定がないか?
● 担保設定がなされている場合、担保設定合計金額が社有地の時価総額を上回っていないか?
● 本店所在地が3年以内に複数回移転していないか?


③電話番号

a. 電話帳の代表番号から担当者までたどり着けるか?
まずは電話帳やホームページに記載の代表番号が、対象となる会社にきちんと
つながるかを確認してみましょう。代表番号に電話しても、全く関係のない先につながったり、
そもそも使われていない番号であった場合などは、慎重に評価する必要があります。
会社の実体がないとすれば論外ですが、最新の電話番号がホームページや電話帳に
反映されていないということは、取引先が電話番号を頻繁に変えている可能性が高いと
いうことになるからです。
例えば、パクリ屋などの取込詐欺や、倒産歴を隠すため、債権者の取立てから逃れる
ためなど、会社に何らかの信用状態の変化があって電話番号を変えたなどの可能性も
考えられます。
これらは与信リスクが高まりますので、電話番号の評価ポイントで問題のなかった企業と
比べて低い評価にせざるを得ません。

b. 電話帳とホームページの代表番号は一致するか?
電話帳とホームページの代表番号が両方確認できる場合には、この二つが一致するか
どうかも評価ポイントとなります。一致しない場合は、どちらかが使われていない番号と
いうことになりますので、この場合も電話番号を頻繁に変えている可能性が高まります。

c. 継続取引の場合
半年から1年に1回、代表番号が変わっていないか確認しましょう。取引先管理台帳に
記載するなど、履歴を信用情報の一つとして管理することをお薦めします。
また、住所変更がないにも関わらず代表番号が変わっている場合には、取引先の評価を
見直すなど継続的な与信管理を実践していくとよいでしょう。

【チェックポイント】
● タウンページやハローページなどの電話帳に代表番号が記載されているか?
● 電話帳に代表番号が記載されている場合、実際の代表番号と一致するか?
● 電話帳に代表番号が記載されている場合、担当者までつながるか?
● 電話帳とホームページ記載の代表番号は一致するか?
● 代表番号が3年以内に複数回変更されていないか?


④従業員数

a. 従業員数と会社の事業内容とを比べてどうか?
従業員数が分かれば、まずは会社の事業実態と比べて不審な点がないかを確認しましょう。
この不審な点とは、従業員数が業種や売上規模に比べ極端に多かったり少なかったり
しないかということです。

例えば、製造業で売上30億円規模の会社で社員10人程度の場合、工場を稼動させるだけの
人員が確保されていないことになり、メーカーとしての事業実態があるのか疑念が強くなります。
逆に売上50億円規模の卸売業で、社員100人を抱えている場合はどうでしょう?
卸売業の場合、常に稼動させておかねばならない工場はもっていないはずですので、
従業員はみな営業マンか経理などの事務スタッフとなります。この場合、従業員1人当りの
売上は5千万円、総利益率を10%とすると従業員1人当りの総利益は500万円となります。
この他に、オフィスの賃料や借入金の利息などを支払っていかねばならないことを考えると、
明らかに過剰人員を抱えていると判断せざるを得ません。
過剰人員を抱えていれば、利益面の懸念の他、リストラなどの特別損失の計上・労使間の
紛争など様々なリスクを抱えている可能性もあります。

b. 継続取引の場合
半年から1年に1回程度、取引先のホームページに載っている従業員巣を確認し、推移を
把握することが大切です。もし極端に減少していた場合には、内紛や大量のリストラで
従業員が集団退職しているなどのケースも想定されるため、慎重に評価する必要があります。

【チェックポイント】
● ホームページやパンフレットなどから従業員数が把握できるか?
● 従業員数が会社の事業内容と比べ、極端に少なくないか?
● 従業員数の推移が前回調査時と比べて極端に減少していないか?


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【著者】リスクモンスター データ工場

会社の格付データの更新を中心業務として行うことに加え、与信管理サービスの
企画・開発や、会員企業の与信管理支援コンサルティングサービスの提供まで
担当する、いわばリスクモンスターの“心臓部”。
分かりやすく精度の高い情報を、お客様により早く提供することをモットーにしている。
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