会社分析のポイント(3)~資本背景・仕入先・販売先~

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会社分析のポイント(3)~資本背景・仕入先・販売先~

                                     リスクモンスター株式会社 メルマガ事務局
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 <CONTENTS>
   ■与信管理講座「企業の評価ポイント」(第3回)
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      ◆◆関連部署等にもご回覧頂き、基礎知識の習得にお役立て下さい。◆◆
    ◇◇バックナンバーは、画面右の「最近の記事」からご覧になれます。◇◇
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            ~与信管理講座「企業の評価ポイント」~     
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前回に引き続き、書籍『日本を元気にするリスモン式与信管理力』(2010年4月発行)を
もとに会社分析の評価ポイントをご説明してまいります。

第3回:会社分析のポイント(3)

今回は、【図表3-1】の15項目の企業情報のうち、⑨資本背景⑩仕入先・販売先における
与信管理上のチェックポイントをご説明してまいります。

【図表3-1】

⑨資本背景

 a. 親会社は大手企業か?
調査対象となる会社の株主構成において、まず評価しなければならないことが
親会社の有無になります。評価していくうちに業績不振企業だとわかったとします。
しかし、その企業が大手優良企業の子会社であれば、親会社が資金提供をして財務面から
バックアップを行なったり、経営陣を派遣して経営の立て直しを図ったりするなど、
さまざまな経営上の支援が期待できます。特に日本企業の場合、ほかの債権者に迷惑を
掛けずに親会社が子会社の面倒を最後までみるという傾向が極めて強くなっています。
そのため、調査対象となる会社の親会社が日系優良企業であれば、大きなプラスの評価となります。

ここで注意するべきポイントは、親会社で優良企業であることが評価の条件になるということです。
例えば、上場企業や有名企業であっても、新聞などで経営不振が報道されているような会社が
親会社である場合には、むしろ減点評価すべきポイントになってしまいます。
したがって、親会社の経営状態を確認した上で評価を行う必要があります。

また、もう一つ注意すべきなのが外資系企業が親会社である場合です。
外資系企業は、日系企業に比べると子会社の支援スタンスに関して一般的にドライです。
事実上のメリットがなければ経営支援を行わないことが多いため、親会社が大手の優良企業
であっても、子会社が倒産してしまうことは十分あり得ます。さらに、外資系企業の場合は
日本市場から撤退してしまうという可能性もあるため、日系企業の子会社と同じように評価
することはできないのです。

b. 子会社でない関連企業の場合は?
aのように調査・評価した結果、日系大手優良企業の子会社ではないけれど、
ホームページに関連会社として記載されているという場合は、資本背景以外の
部分も見ておく必要があります。
まず一つは、親会社から経営陣の派遣があるかどうかです。
親会社の幹部社員や役員クラスが関連会社に代表者として派遣されているかどうかを
確認してみましょう。こうした人的派遣が親会社からあるということは、事実上の
経営責任を親会社が負っていると言えますので、重要なプラス評価ポイントとなります。

もう一つは、関連会社の商号に「かんむり」が付いているかどうかです。
この「かんむり」というのは、例えば「三菱〇〇」などのように親会社の関係会社であることを
示すようなブランドネームが商号の頭についているかどうかということです。
こうした「かんむり」が付いている企業は、親会社が自社のグループ会社であることを
対外的にも半ば公表していると考えられます。「かんむり」の付いた関連会社が倒産に
至った場合にはブランドネームに大きく傷が付くことになりますので、親会社の支援体制
を期待できる可能性が高まるのです。

c. 代表者一族の出資割合は?
日本の企業においては、aやbのように大手企業が株主であるケースよりも、代表者と
その一族が役員であると同時に支配株主でもあるというケースのほうが多く見られます。
このような場合は、代表者一族の出資割合を確認しましょう。

代表者がしっかりと経営と株主を握って経営しているのであれば、オーナー会社として
自分や家族の人生が会社の経営いかんに関わっているわけですから、それだけ真剣に
経営に取り組んでいると考えられます。
オーナー社長とその一族の株式を全部合わせても発行株数の過半数に達せず、
経営にタッチしていないほかの株主が相当数いる場合、配当を無理やり増やせとか、
自分の身内を社員として雇えといった無理難題を要求してくる可能性があるのです。
社長一族が過半数の株式を保有していれば、そのような要求もはねのけられますが、
そうでない場合には要求を呑まざるを得ない場合も十分あり得ます。
そのため、安定株主がいるかどうかは与信管理上の重要な評価ポイントと言えるでしょう。

d. 株主に不審な法人・個人はいないか?
たちの悪い関係者が株主として存在していないかどうかも重要な評価ポイントです。
こちらについては、後日⑮信用不安情報の項目でご説明します。

【チェックポイント】 
●親会社が大手優良企業か?
●大手優良企業の関連会社で、親会社から役員などの人的派遣があるか?
●大手優良企業の関連会社で、親会社の「かんむり」を使うことが許されているか?
●上記以外の場合、代表者一族の出資割合が過半数に至っているか?


⑩仕入先・販売先

a. 仕入先からの調達は安定しているか?
与信管理上、「仕入先の安定性」は販売先以上に重要な情報です。その会社の主力商品や
部品の供給が安定して継続されるかどうかは、主要仕入先からの供給に大きく依存します。
つまり、主要仕入先が今後も安定的に必要なものを供給してくれるかどうかは、会社の
生命線ともなり得るのです。

継続して取引が続いている主要仕入先とはある程度の金額の与信取引が行われている
と想定できます。つまり、調査対象となる会社はその仕入先から「与信取引をしても問題
ない会社」だと評価されているわけです。安定した優良仕入先をもっているということは、
それだけ信用される会社である可能性が高まるということにもなります。
逆に、主要仕入先に倒産しそうな企業などが掲載されている場合は、商品や原材料など
の安定的な調達が期待できず、営業活動がストップしてしまう事態も考えられます。
そうすると、現金収入が減少したり一時的になくなったりする上、これまでの支払いは
続けなければならないという苛酷な状態にも陥りかねません。
最悪の場合、資金繰りが行き詰まり倒産に至るケースもあり得ます。

b. 不良債権化する販売先はないか?
販売先が倒産するということは調査対象となる会社が焦付の損失を負う可能性が高いことを
意味します。つまり、調査対象となる会社は販売先に対して与信リスクを抱えているのです。
仮に主要販売先が倒産したとしましょう。主要販売先ともなれば取引金額も大きく、有する
債権も高額に上る可能性が高くなります。主要販売先の倒産で現金収入が大きく落ち込み、
資金の穴を埋められないような場合には、最悪連鎖倒産する可能性もあるのです。

c. 継続取引の場合
継続的な取引先については、ほかの項目と同様に取引先や販売先に変更がないかどうか
定期的に確認することが重要です。
例えば、主要仕入先であったA商社が取引から撤退し、代わりにB商社が新たな
主要仕入先として名を連ねるようになったという場合には注意が必要です。取引先の情報を
有するA商社が、経営の悪化などを察知し取引から撤退した可能性があるからです。
 
【チェックポイント】 
●企業ホームページから仕入先・販売先は把握できるか? 
●主要仕入先・主要販売先に信用状態の悪い企業はないか? 
●主要仕入先・主要販売先が急に変更されていないか? 


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【著者】リスクモンスター データ工場

会社の格付データの更新を中心業務として行うことに加え、与信管理サービスの
企画・開発や、会員企業の与信管理支援コンサルティングサービスの提供まで
担当する、いわばリスクモンスターの“心臓部”。
分かりやすく精度の高い情報を、お客様により早く提供することをモットーにしている。
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