与信管理講座「倒産事例から見る財務指標の傾向」(第4回)

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与信管理講座「倒産事例から見る財務指標の傾向」(第4回)

                                     リスクモンスター株式会社 メルマガ事務局
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 <CONTENTS>
   ■与信管理講座「倒産事例から見る財務指標の傾向」(第4回)
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        ~与信管理講座「倒産事例から見る財務指標の傾向」~     
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与信管理上注目すべき財務指標を、倒産企業の分析データから解説しております。

第4回 「借入依存度」

 

1.「借入依存度」とは?

借入依存度は総資本に占める借入の割合を表し、主に外部資金が資産規模に対して

適当な水準にあるかを見るための指標です。自己資本比率と概ね表裏一体をなす指標

として考えられるため、自己資本の蓄積が薄弱であると借入依存度が高まる傾向があります。

一般的に健全な財務状態の会社であれば借入依存度は30%以下が普通です。

これ以上借入依存度が高まると財務的に危険であるという目安は、卸売業で50~55%、

製造業で60~65%程度と言われております。この水準を超えると過度の借金体質となり、

金利と返済の負担から収益面でも資金繰り面でも安定経営が難しくなってきます。

借入依存度はつぎの算式によって求めることができます。


借入依存度(%)=総借入/総資本×100

総借入=割引手形+短期借入金+1年内返済の長期借入金+1年内償還の社債

+社債+長期借入金

 

2. 倒産事例分析

次に、最近の倒産事例より、借入依存度の推移を見ていきます。


1.理建工業株式会社

(職別工事業、2011年10月5日破産手続申立、負債総額50億円)

 

①会社概要、倒産経緯

・1970年設立の防水工事、内装工事業を主業とする職別工事業者。

・大手を含むゼネコン各社を顧客とし、横浜市や千葉、群馬、茨城の各県に支店や

営業所を構え、事業を展開していた。

・大手ゼネコンからの回収が長期化したことが資金繰りを圧迫。経営陣の入れ替え、

スポンサー支援等により自主再建を図ったが、抜本的な改善には至らず、

再度の資金ショートに至ったもの。

 

②借入依存度の推移

決算期            2011/3     2010/3        2009/3           

売上高(千円)       11,791,312    12,178,539  11,256,609                                    

借入依存度(%)      73.8               74.3              71.1

借入月商比(ヵ月)     8.3                 8.8                8.9      

 

・2010/3期まで増収基調で推移し、利益も順調に伸ばしてきたが、2011/3期には

減収に伴い、減益推移を余儀なくされた。

・大手ゼネコンからの回収が長期化したことにより、運転資金需用は増加の一途を辿り、

借入は月商比8.3ヵ月分、依存度73.8%と過大な状態が続いていた。

 

3.ポイント

リスクモンスターでは、借入依存度別の倒産確率を集計し、会員サイト上の「アナリスト

モンスター」にて公開しています。

 

 

全体で見ると、借入依存度が50%以上の場合に倒産確率が高くなり、F格の倒産

確率の水準に近づくことがわかります。業種別では、総合工事業は全体の倒産確率も

高く、借入依存度が30%を超えると警戒領域といえます。また、サービス業は他の業種に

比べ借入依存に対する耐性が強く、80%程度までは倒産確率が上昇しにくい傾向が窺えます。

 

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【著者】リスクモンスター データ工場
会社の格付データの更新を中心業務として行うことに加え、与信管理サービスの
企画・開発や、会員企業の与信管理支援コンサルティングサービスの提供まで
担当する、いわばリスクモンスターの“心臓部”。
分かりやすく精度の高い情報を、お客様により早くご提供することをモットーにしている。
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