りすもん与信管理講座「新任担当者が押さえるべきツボ(第2回)~取引限度の設定」

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りすもん与信管理講座「新任担当者が押さえるべきツボ(第2回)~取引限度の設定」

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りすもん与信管理講座
 「新任担当者が押さえるべきツボ(第2回)~取引限度の設定」      
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4月より、新任の与信管理業務担当者に是非知っていただきたい与信管理のツボを
ご紹介しております。全3回シリーズの第2回目の今回は、「取引限度の設定」
です。

今回も、リスクモンスターのe-ラーニング講座「実践!与信管理・債権回収のノウハウ」
の中から抜粋となります。

第2回 取引限度の設定

―取引開始までのプロセス―

取引先の出現から限度設定までのポイントをあげると、次のようになります。

1)  取引候補先が出現したら、取引先として妥当かどうか営業部で調査する。
  この場合の調査は、取引候補先を訪問する直接調査が原則。

2) 営業部は自己の調査と並行して管理部にも依頼する。
  この段階での管理部の調査は、調査会社など第三者から情報収集する間接調査が原則。

3) 営業部と管理部は調査結果を持ち寄って情報交換をし、管理部が総合分析を行う。

4) 営業部は3)の結果にもとづいて取引限度を立案し、管理部に審議を依頼する。

5) 管理部は申請取引先の信用状態を審査して審議結果(調査結果とそれにもとづく
  取引の可否)を営業部に通知する。

6) 営業部は管理部の審議結果にもとづき取引限度の決裁、設定を行う。

7) 営業部は取引限度決裁結果を管理部に通知し、管理部はその通知にもとづいて
  付帯条件の履行状況をチェックし、取引限度の登録を行う。
 
この限度登録をもって、信用調査はひとまず終了し、取引限度が正式に発効します。


―取引限度の算出方法―
 
会社として安定した経営を続けるためには、与信リスクを伴う取引の開始にあたり、
その前に必ず取引限度の設定を行なわなければなりません。

取引限度とは、一般的には「営業取引によって生ずる取引先に対する債権(売掛金・
受取手形・前払い等)ならびに委託加工品および寄託物の残高の限度額」をいい、
以下のような設定方法があります。

1. オール・オア・ナッシング
 与信というものは、基本的にはやるかやらないかと考え、取引をすると決めた先は
 金額に上限を設けず取引を行う方法です。しかし、まったく危険性のない企業は
 少なく、またOKを出した取引先でもその後業績が悪化したような場合、売り込み
 すぎたために手を引くに引けない、といった面もあります。したがって、この方法は
 適切とはいえません。

2. 取引先正味資産配分法
 この方法は、相手先の自己資本の範囲内であれば、万一相手が倒産しても、自社の
 債権を回収できるであろうとする考え方です。しかしこの方法だと、自己資本の
 少ない企業に対しては与信ができないことになり、中小企業が大部分を占める
 現在の日本の実情には合っていません。また、相手先が決算非公開の場合には、
 自己資本額がつかめないので、この方法は使えなくなります。

3. 自社自己資本基準法
 万一取引先が倒産した場合でも、自社の自己資本の範囲内であれば何とか吸収できて
 共倒れにならなくてすむ、という考え方です。しかしこの方法には、自社の自己
 資本が少ない場合には、多額の与信ができないという欠点があります。

4. 取引先運転資本基準法
 これは、支払能力を基準とする考え方なので、一見、合理的に見えますが、
 公表決算書は必ずしも真の実態を伝えておらず、正味の支払能力を表わしているとは
 限りません。運転資本がマイナスの会社にはまったく与信できない、決算非公開の
 会社は設定できない、などの欠点もあります。

5. 取引先仕入債務基準法
 この方法は、取引先の仕入債務額の一定割合を与信限度額に設定する方法ですが、
 どの程度に設定するかが最大の問題です。相手先が決算非公開の場合は仕入債務を
 つかめないという欠点はありますが、正味資産基準と運転資本基準と異なり、
 外部からでもある程度推測できる、という利点があります。

6. 危険分散(自社利益基準法)
 これは、万一焦付きが発生した場合でも、自社の利益で吸収できる範囲にとどめる、
 とする方法です。

6つの方法には、それぞれに長所・短所がありますが、5.仕入債務基準法が最も
汎用性があると思われます。この方法を使った与信額の求め方は、以下の算式の
とおりです。

【仕入債務基準による与信限度の求め方】

・自社の希望限度額は・・・
   月間売上高×決済条件(月数)=希望限度額
    〈平均回収サイト〉

・与信の上限は・・・
   相手先の仕入債務×一定割合=上限
 または、
    相手先の月平均仕入高×業界標準決済条件×一定割合=上限

なお算式の一定割合は、各社の規模や考え方によりますが、最悪の場合でもトップ債権者と
ならずにいれば撤退しやすいという理由から、上限を30%に置くという考え方があります。
たとえば、Aランク先…上限30%、Bランク先…上限20%、Cランク先・上限10%などと
決めておくとよいでしょう。
いずれの方法を採用するにしても、必ず根底になくてはならないのが自社の資金力と体力
ですどんなに優秀な相手先でも、自社の能力をはるかに超える与信を設定すべきでは
ありません。一社に対する与信の上限を自社の自己資本の10%とすべきでしょう。


―限度設定後の管理―

与信限度(取引限度)が設定され、取引開始された後は、取引継続にあたり限度管理・
債権管理が必要となります。

いついかなる時点においても超過してはならない金額と位置づけ管理しましょう。

一般的な限度管理・債権管理のポイントは次のようになりますが、信用状態に変化を
及ぼす情報を入手した場合は、仮に限度内といえども債権を圧縮し、必要に応じて
保全策をとります。

1) 限度管理・債権管理は営業部、側面的管理は管理部で行い、限度未設定や限度オーバー、
  期限切れ、条件相違などによる「限度超過」を完全に排除する
 
2) 「限度超過」を起こしそうになったら、営業部は遅滞なく管理部に報告・相談する

3) 管理部は報告を受けた案件について、できるだけ速やかに結論を出す

4) 管理部が「限度超過」を発見した場合は、機を逃さず営業部に警告する

5) 営業部、管理部それぞれの立場において情報入手に努め、重要事項については、
  そのつど相互に情報交換する


[設問] 限度額(極度額)の設定はいくつかありますが、〔   〕の方式が
    最も汎用性があります。

 
     A. 自社自己資本配分法
     B. 取引先仕入債務基準法
     C. 取引先正味資産基準法
     D. 取引先運転資本基準法


 (設問の解答は、「実践!与信管理・債権回収のノウハウ」をご利用いただき、
  ご確認お願いいたします。)

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