「与信ポートフォリオ分析(第1回)~定期見直しの重要性」

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「与信ポートフォリオ分析(第1回)~定期見直しの重要性」

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 「与信ポートフォリオ分析(第1回)~定期見直しの重要性」      
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今回から4回にわたって、与信管理ルールを構築・運用していくために重要な
「与信ポートフォリオ分析」についてご説明します。

取引先全体の状況分析、自社が抱える与信リスクの算出、要管理先の選定と運用など
に利用できる有用なものです。手法や効用について詳しく解説します。

一つ一つの取引先の分析ももちろん大事ですが、一つの案件にこだわっていると
本当に管理が必要なリスクを見逃してしまう危険性があります。まさに
「木を見て森を見ず」の状態に陥ってしまいます。

そうならないよう に取引先全体を把握した上で、リスクが高い案件に効果的に
経営資源を配分できるよう濃淡管理していく、その道しるべとなるのが
与信ポートフォリオ分析なのです。

今回はその分析の準備作業について解説します。

1.与信リスクの特定

まずは自社の取引先をすべて洗い出す作業から開始します。しかし、ここで与信
管理でいう「取引先」とは何なのかといったことを考えておく必要があります。
果たして販売先だけを与信管理の対象としていいのでしょうか?

与信管理とは、一般的に取引先から販売代金がしっかり入ってくるかを管理する
ことを言いますが、ビジネスの形態によっては販売先以外の「取引先」も管理する
ことが必要となります。

例えば販 売以外に管理が必要な取引の例としては以下のものがあげられます。

①寄託取引
他社に自社在庫などの所有物を保管させる取引です。与信金額は寄託物の現在価値
となります。

②委託加工取引
外注先に原材料等を供給して加工させる取引です。与信金額は供給した原材料の
現在価値となります。

③前渡取引
商品や原材料等の購入代金やサービスの提供代金を前払いする取引のことをいいます。
与信金額は前払した金額全額となります。

これら以外にも、特定の取引先のために生産している自社在庫や、受注生産型の機械や
ソフトウェアなども取引先が倒産すれば他社に転売できないため、与信リスクと見なさ
なければなりません。

また仕入先管理が自社にと って非常に重要なこともあるでしょう。管理の対象を
決めることは非常に重要です。対象とされなかった取引はリスクを検討しないこと
にもつながりますので、しっかり自社の取引内容を見直し、決定しましょう。

2.会社格付を導入しましょう!

次に会社格付を導入することを検討します。取引先の信用力を比較可能にするために、
取引先を統一的な基準で評価し、簡潔な記号・数字で表示し分類するものです。

例えば、信用力の高い順にA、B、C、D、E、Fの6段階の格付を設定し、
それぞれの格付の定義は、
  A=「支払能力が非常に高い」
  B=「支払能力が高い」
  C=「支払能力は中程度」
  D=「将来の支払能力に懸念が ある」
  E=「支払能力に懸念がある」
  F=「通常取引不適格先、判断不能先」
というように定義づけを行い、管理します。

このポイントとしては、「客観性」が挙げられます。与信管理における格付の評価
基準は、あくまでも会社の支払能力、つまり倒産確率に力点が置かれるべきで、
規模や社歴、イメージだけで判断してはいけないことは、言うまでもありません。
格付毎の想定倒産確率を算出できるようにしていくことが重要です。

 株主、金融機関、重要取引先などのステークホルダーに説明できるようにするため
にも、できるだけ多くの企業を分析した結果を格付に反映させた客観性のある基準と
するべきです。

自社の取引先だけの比較となると、分析対象の企業の件数が少なすぎるため、
客観性のある基準とは言えなくなります。場合によっては信用力の評価を
アウトソーシングし、調査会社や与信管理サービス会社の評価を活用する事例が
増えてきています。

 定量分析を行う際に、一件一件決算書を入手し、モデルに投入していく作業は
与信管理担当者からすると安心できるものでありますが、評価にかかる経費、 時間は
膨大なものとなります。

また、そうした場合でも焦付きは必ず発生します。競争が激化し、経営・営業に
おける意思決定のスピードアップ、徹底した管理コストの削減を求められる中、
与信管理を強化しながら、効率化することが重要なのです。

アウトソーシングにより、 外部から新たな尺度を取り入れることで、リスク
リターンの把握、すなわち自社の財務体力や与信管理ルールと、自社が抱える
信用リスクを比較するための基準を得ることができ、与信管理の強化が達成できる
のです。また汎用性に優れ、簡便で、属人的でない指標を一次スクリーンとして
導入することで、リスクの小さい取引先に関する意思決定や事後管理を簡略化でき、
与信管理の効率化が実現できます。

しかし、あくまで外部評価は「一次スクリーン」であり、全てを解決してくれる
わけではなく、過度の期待はできません。実務と乖離した部分は、管理部門が
最終的に調整することになります。

3.取引先の洗い出し

管理すべき与信取 引と格付けの方針を決定したら、いよいよ取引先を洗い出します。
ここで洗い出した取引先が、全社で管理すべき与信リスクの対象となります。

洗い出しは、経理資料で行える場合は一括して洗い出すことで進めますが、統一した
データがない場合は、各営業部門、各支店に協力を依頼します。

またグループ全体の与信管理を進める場合は、子会社にも同様に依頼します。
ひと言で洗い出しといっても非常に手間のかかる作業です。なぜなら本社と各支店、
 各グループ会社まで含めると、取引先の管理の方法が統一されていない場合も多く、
別々の管理資料が出てくると集計に非常に時間がかかることとなります。したがって、
統一的なフォームを用意して資料を集めるのが効率的です。

このような形で収集した資料をもとに、商号、本社所在地、電話番号、代表者などを
キーとして取引先の名寄せ作業を行ないます。これによって個々の取引先に対する
全社またはグループ全体の与信取引の種類とその与信金額を把握することができます。

なお、販売と仕入が発生する場合や担保を取得している場合も記載するようにすると、
取引先が倒産した際の回収可能額が把握でき、取引先ごとの正味の与信リスクを
算出する上で非常に役に立ちます。

 洗い出した取引先には、名寄せ作業を行ったのち、統一の取引先コードを付与する
と管理上非常に効率的になります。取引先1社ごとに1つのユニークコードを設定して
管理すると、既存の取引先に新たに対する債権の名寄せも非常にスムーズに行うこと
ができます。

また社内の経理システム等でも取引先コードを入力して検索すれば、全社または
グループ全体の債権残が照会できる仕組み等も作成できるようになるため、
与信管理面だけでなく、経理・財務管理、販売管理でも効率化の効果が期待できます。

自社内で統一コードの体系を作るのが困難な場合は、東京商工リサーチなど信用調査
会社の企業コードを利用することも1つの方法です。

信用調査会社は、企業の再編なども踏まえて随時コードのメンテナンスも行って
いますので、取引先債権の名寄せには最適です。

なお、作業自体を信用調査 会社などに依頼することもできます。作業に人員や
時間を割けない場合は利用するとたいへん便利です。

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リスクモンスターの「ポートフォリオサービス」は、取引先全体の定期見直し
サービスとして、多くの会員様にご利用いただいております。

取引先の全体分析や条件の見直しを自社のみで行うには作業量が膨大になります。
ポートフォリオサービスなら取引先の全体分析や条件の見直しが低コスト、短期間で
可能です。

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