調査結果発表:第4回 「新型コロナウイルスによる影響」調査(リスモン調べ)

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調査結果発表:第4回 「新型コロナウイルスによる影響」調査(リスモン調べ)

リスクモンスター株式会社
データ工場

 

2021年1月7日、新型コロナウイルスの感染拡大の対応策として、2度目となる「緊急事態宣言」が発令された。当初の終了予定日は2月7日であったが、感染数の高止まりにより、3月7日まで延長され、さらに東京、神奈川、埼玉、千葉の首都圏1都3県では、3月21日まで2週間再延長することが決定した。

今回、リスクモンスターが独自に行った第4回となる「新型コロナウイルスによる影響アンケート」調査(2月5日~9日実施)に対しては128社から回答が得られ、約6割の企業が「2020年度の業績が前年よりも悪くなった」と回答した。また、コロナ禍における自社で生じた変化について質問したところ、7割以上の企業でテレワークが新たに導入されていることが明らかとなったが、一方で、そのうちの8割以上が新型コロナウイルス終息後は、「テレワーク頻度を低減させる」と回答しており、テレワークをコロナ禍における暫定的な措置として実施している様子がうかがえる。

今回の調査では、新型コロナウイルスの影響によって約35%の企業において、与信リスクが生じていることが明らかとなった。全体の2割強の企業において取引先の倒産や廃業が発生しており、1割近い企業において、支払遅延・決済条件変更などの事象が発生している。中でも小・卸売業においては「取引先の倒産」(同17.4%)が突出して多く、倒産が発生しやすい状況にあることがうかがえる。また、サービス業においては、「取引先からの支払遅延」(同27.8%)や「取引先からの決済条件変更」(同16.7%)が多く、今後の倒産増加につながる要素を多く有していることが表れた。

新型コロナウイルス終息の見通しは依然として立っておらず、さらなる影響の長期化も懸念される。今後も倒産の増加とともに与信リスクが高まっていくことが予想されるため、各企業における与信管理強化の必要性も高まってくるといえよう。

 

 

[Q1]2020年度の自社の業績は、前年度と比較してどのように変化していますか?

2020年度の業績について、前年度からの変化を聞いたところ、「やや悪化している」(回答率53.9%)が最多となり、「変わらない」(同28.8%)、「やや拡大している」(同10.2%)の順となった。「大幅に悪化している」を含めると、全体の6割の企業において、前年度と比べて業績が悪化していることが明らかとなった。

業種別では、すべての業種において「やや悪化している」が最多となり、「建設業」以外のすべての業種で、「悪化している」が5割を超えた。「悪化している」が多い業種としては、「サービス業」(同66.7%)、「小・卸売業」(同63.1%)、職業紹介・労働者派遣業や不動産業、道路貨物運送業を含む「その他」(同60.0%)、「製造業」(同53.2%)の順となり、「サービス業」や「小・卸売業」が大きな打撃を受けている様子がうかがえる。(図表A)

 

 

[Q2]2020年1月以降、自社においてどのような変化が生じましたか?

新型コロナウイルスの感染が拡大した2020年1月以降、自社に生じた変化について聞いたところ、「テレワークの開始」(回答率72.7%)が最多となり、新型コロナウイルス感染拡大抑制や自社社員の感染リスク低減のためにテレワークを開始した企業が、7割程度存在することが明らかとなった。 また、「給与・賞与の減少」(同26.6%)、「新卒・中途採用の減少」(同14.8%)が多い点からは、コロナ禍における業績悪化による影響もうかがえる。

業種別では、全体の7割超の企業でテレワークを開始している中、建設業(同42.9%)では建設現場での作業が必要であることを理由にテレワーク実施は4割程度に留まっており、業態によって実施状況に差が生じていることが表れている。

製造業においては、「給与・賞与が減った」(同31.3%)が業種別で最も多い結果となった一方で、「新卒・中途採用が減った」(同6.3%)は少なく、今期の業績悪化への対応をしつつも、今後に向けた生産体制の維持を図ろうという姿勢がうかがえる。

「サービス業」においては、「新卒・中途採用の減少」(同33.3%)や「支店・店舗を閉鎖した」(同4.0%)が多く、来期以降の業績悪化懸念に対する固定費削減の動きがうかがえる。(図表B)



 

 

[Q3]新型コロナウイルス終息後、自社のテレワーク頻度はどのように変化する予定ですか?

[Q2]において、2020年1月以降にテレワークを開始したと回答した企業に対して、いつまでテレワークを実施する予定か調査したところ、「新型コロナウイルス終息後は、テレワークを継続しつつ出社の頻度を増やす予定」(回答率43.5%)が最多となり、「終息後は毎日出社に戻す予定」(同37.0%)、「今後も同じ頻度のテレワークを実施する予定」(同19.5%)と続いた。

コロナ禍において新たにテレワークを導入した企業の8割が、新型コロナウイルス終息後は、現在よりもテレワークの頻度を低減させる方針であるという結果となった。(図表C)

 


 

[Q4]2020年1月以降、取引先や自社の取引にどのようなリスクが生じましたか?

新型コロナウイルスの影響によって、実際に取引先や自社の取引に生じたリスクについて調査したところ、全体の14.8%において「取引先の自主廃業」が発生しており、10.2%において「取引先の倒産」が発生していることが明らかとなった。2020年4月の緊急事態宣言時の調査に比べ、「取引先の倒産」が発生した企業は3.9ポイント増加しており、取引先の倒産リスクが高まっている様子がうかがえる。さらに、「取引先からの支払遅延」(回答率11.7%)、「取引先からの決済条件変更」(同9.4%)、「取引先の休業等による取引の停止」(同8.6%)においては、それぞれ全体の1割程度の企業において発生している結果となった。

 また、上記の調査に対して、回答企業ごとに最もリスクが高い事象のみを抽出して集計したところ、貸倒れ等のリスクに直結する「取引先の倒産」(同10.2%)、「取引先からの支払い遅延」(同5.5%)、「取引先からの決済条件変更」(同3.9%)の3項目で、全体の約2割を占める状況であり、5社に1社は与信リスクが生じていることが明らかとなった。

 業種別では、小・卸売業における「取引先の倒産」(同17.4%)が多く発生しており、建設業や製造業においては、「取引先の自主廃業」(建設業回答率42.9%、製造業回答率21.9%)が他業種よりも多い。

小・卸売業においては、取引先に小規模・零細企業が多く財務体力が乏しいこと等、建設業や製造業においては、受注見込みの悪化に対して債務超過に陥る前に事業をたたむ選択肢が採りうること等が背景として考えられよう。

また、旅行会社を含むサービス業において、「取引先からの支払遅延」と「取引先からの決済条件変更」の合計が44.5%となっており、他業種よりも与信リスクが高い状況にあることが表れている。支払遅延や決済条件の変更は、資金繰りに直結し将来的な倒産リスクにつながる高い事象であることから、サービス業における今後の倒産増加が懸念される。(図表D)





 

 

■リスモン調べ動画

今回発表の調査結果について、「緊急事態宣言に伴う2020年度の企業リスク調査」動画を作成しました。2人のコメンテーターの掛け合いによる解説をお楽しみいただけます。

掲載サイトよりご覧ください!https://youtu.be/jccFCOLVloo

 

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