危ない中国企業の見分け方 第1回 中国企業情報の収集方法

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危ない中国企業の見分け方 第1回 中国企業情報の収集方法

取引を安全に行うためには、取引先である中国企業に対する情報を多面的に入手し、分析する必要があります。情報には、取引先から直接入手する情報や過去の取引記録などの内部情報がありますが、今回は第三者から入手できる情報として、中国政府部門により開示されている企業情報や中国の信用調査会社が提供する企業情報の収集方法について説明します。

工商局 企業信用情報公示システム(http://gsxt.saic.gov.cn/)

2014年2月の年度検査制度の改正により、中国企業は毎年6月30日までに前年度の年度報告を、企業信用情報公示システム(以下、公示システム)を通じて提出するように義務付けられました。
 公示システムでは、企業名と調査対象企業の本社が登記されている省で検索することで、資本金、設立年月、事業目的、株主および出資額、董事等の経営者氏名、各項目の変遷など、登記されている全ての企業の基本情報を、誰でも無料で閲覧することができます。

 また、基本情報の他に知的財産権質権設定情報などの適時公示情報や、政府部門による行政処罰情報、動産抵当権登記情報などが公開されています。従業員数や資産総額、負債総額、営業総収入、純利益、納税総額等の情報も提出項目に含まれていますが、企業側は一般開示の有無を選択できるため、多くの中国企業は掲示していません。

 公示システムにおいては、工商局の検査によって企業情報の内容が事実に反すると判断された場合、当該項目に対し「経営異常」、「重大違法」などの表示がされます。

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税務局 納税信用ランク(http://www.chinatax.gov.cn/)

税務局ホームページでは、納税信用ランクがAランク(優良)の企業を閲覧できます。税務局では誠実かつ自律的な納税の促進を目的として、納税者である企業の信用評価を行い、AからDまでの4 ランクに区分しています。納税信用ランクは、税務局が有する税務内部情報と、銀行・工商局・税関などから得る外部情報で構成されており、税務内部情報では税務申告や増値税発票の発行等を規定や期日に従って報告しているか、といった経常性指標情報等により評価しています。取引先の安全性に直結する指標ではありませんが、参考指標として確認しておくと良いでしょう。

中国企業信用調査会社

中国企業の財務状況や規模・従業員数・取引先などの情報が必要な場合には、企業信用調査会社へ依頼すると1社につき1,500元~3,000元程度の費用で企業信用調査レポートを入手できます。調査レポートの作成には10日~2週間程度を要します。
 日本国内において、信用調査(格付)会社といえば、帝国データバンクやリスクモンスターなど数社程度しか存在していませんが、中国では100社以上、上海だけでも30社以上が存在しています。中国で有力な企業信用調査会社としては、新華信国際信息諮詢(シノトラスト)のほか、上海杰勝商務咨詢有限公司(JSBIZ)、中国国际商业征信有限公司(CIB)、などが挙げられます。

 各信用調査会社の調査方法は概ね共通しており、主に①工商局や税務局、統計局など政府部門のデータベース、②ネットや印刷メディアの情報、③電話や現地訪問によるインタビューの3つの手段で行われています。①においては、信用調査協会に認定されている信用調査会社であれば、一般では入手できないような財務情報などの詳細情報も入手可能となります。一方で、③現地訪問については殆どの調査会社で行われておらず、実質的に①と②の情報が中心となっています。

 企業信用調査レポートにおいて最も重要なことは、調査対象企業が信用できる会社か否かが判断しやすいということです。リスクモンスターでは、専属のアナリストが中国企業信用調査レポートを基に1社1社分析し、中国企業の信用度を格付として表しているため、評価が明瞭で分かりやすくなっています。

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