りすもん与信管理講座「与信管理予算策定のポイント その2」

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りすもん与信管理講座「与信管理予算策定のポイント その2」

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りすもん与信管理講座「与信管理予算策定のポイント その2」
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 会社経営において、投資はできるだけ費用対効果を考慮し、コストは最小限に抑え最大のリターンを得ることが重要課題ですが、これは与信管理においても共通する課題といえます。

  前回の現状把握と年間計画の立案を踏まえて、今回は具体的な予算項目について説明いたします。


4.審査部門の予算項目とは

 企業審査に必要と思われる費用項目を列記します。企業によっては、間接部門が入居する事務所運営のための光熱費、家賃、減価償却費等の一般管理費を、人数割りして当該部門に割り振り予算化することもありますが、ここでは与信管理に関連する項目に絞って記載します。
 
 これらの合計が、現状の与信リスクの金額に照らして妥当かどうかを確認します。焦付きによる損失発生を防止するにはこれだけのコストが必要ですと計画を示したうえで説明できれば予算獲得もこれまでよりスムーズに進められるでしょう。

(1)情報検索費

① 企業情報
 管理対象から外す少額与信を除き、取引先については年に1回は格付・企業情報を取得したいところです。また集中管理先や海外取引先は、信用調書などより深い情報を取得する必要があります。
 したがって、新規で発生する取引先も見込んで、
・取引先数×企業情報(1,600円)
・集中管理先×信用調書(20,000円)
を確保するようにしましょう。

② その他情報
 反社・不祥事情報チェックのための過去の新聞記事データベース検索費用、商業登記・不動産登記の取得費用も場合によっては必要となります。利用が見込まれる分は計上します。

(2)担保取得・保証関連費

 担保取得する際には、契約書に貼る印紙代、また登記に関わる費用、確定日付の取得費用などが必要になります。また保証会社を利用する際には保証料が必要です。
 
 リスクが高い先で対処が必要な先の数を把握したうえで見積もるようにしましょう。

(3)人件費関連

① 給与・賞与
 人員増を計画する場合は、予算折衝にあたり相当な覚悟が必要です。増員した審査人員の役割(何をさせるのか)、さらに現在の人員では効率化に限界がある(従来効率化を徹底してきた)等の説明が必要です。
 一般的に企業の与信評価、リスク減に向けた具体的な対処を考えると、担当者1人当たり250~300社ぐらいが限界と考えられます。

② 出張、旅費交通費
 審査部門が対応しなければならない業務は、突発的に発生することも多くあります。支払遅延、倒産等は基本的に予測不能です。したがって、出張することも考え、4半期に1回地方への出張が発生する等と仮定して、暫定的に予算計上しましょう。

 これらとは別に、社内の与信マインド向上に社内研修を実施することも審査部門の重要な役割です。また現場に行ってこそ問題点も分かります。地方・海外の重要拠点への出張費も、忘れずに計上しておきましょう。海外出張の場合は、データ通信を利用時の通信料(パケット代)なども確保しておきましょう。

(4)スキルアップにつなげる費用

① 教育研修費
 審査部員は、会計や法規制について常に情報を最新にしておく必要があります。自助努力が大前提ではありますが、それには限界があります。一人一人の能力が高ければそれだけビジネスへの貢献度も高まります。これは、できるだけ厚くとっておきたいところです。
 書籍費に比べ研修費は高額ですが、最低限年に数回は外部セミナーに参加することが望ましいです。その際には社外のセミナーで得た知見を社内に積極的にフィードバックしていくことを約束して確保するようにしましょう。

② 図書費
 業務上必要とされる新聞代、書籍購入費、雑誌購読料等の代金である。日々の最新情報の取得は審査担当者の生命線です。アンテナを張りながら、また専門性を維持できるよう、十分な予算を確保したいです。
 業界新聞・雑誌、調査会社が発行するTSR情報や帝国ニュースなどの倒産に関わる日報、月次倒産集計の年間購読費を計上します。また財務分析、会計・税務、法律などで部内・社内で共有することで、スキルアップにつながる書籍も購入できるよう、年間○○万円と大枠で予算計上しましょう。

(5)弁護士・司法書士費用等

 実際に依頼する案件がどの程度あるかによって実際には大きく変わりますが、これまでの弁護士への依頼件数から大まかな費用は算出し、問題が発生した際にある程度機動的に動ける費用を計上しておきましょう。
 
(6)交際費、会議費

 審査部門にとって日ごろから(4)の士業関係、調査会社などと関係を良好に保つことも重要です。こうした付き合いから情報を引き出し、それを自社にきちんとフィードバックできる「スキル」を磨くことも必要です。

 また審査担当者が各地に散らばっている場合には、全員を集めて勉強会を行い、審査部門としての組織目標を確認したり、お互いにbest practiceをシェアしたりすることも効果的です。毎年は難しいかもしれませんが、効果的なリスクマネジメントにつながることを説明して確保しましょう。

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