取引先リスク管理Q&A ~支払遅延債権を回収したい!まず何をしたらいい?~
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取引先リスク管理Q&A ~支払遅延債権を回収したい!まず何をしたらいい?~
Q.支払遅延債権を回収したい!まず何をしたらいい?
A.
支払遅延債権を回収するためには、まず債務者に対して、「債務の履行期日が既に経過していることを通知し、債務の履行を促す」ことから始める必要があります。さらに、取引先に対して保有する全ての債権に対して回収を図りたい場合には、期日未到来の債権に対しても請求できるように、「支払遅延を理由とする期限の利益の喪失」を事前に行う必要があります。
解説
(1)督促状(催告書)
債務の支払いを促す文書として、督促状(催告書)があります。督促状(催告書)は、債務者が自社に対して有する債務について、既に支払期日が到来していることを通知し、速やかに支払いを履行することを伝える文書です。
督促状(催告書)の送付方法として、書留や配達証明付郵便で送付することもありますが、債務者に対して請求した事実を公的に証明するためには、配達証明付内容証明郵便で送付することが必要です。内容証明郵便に、特別な法的効果はありませんが、文書の内容が公的に証明され、差出年月日も付記されるため、差出日も証明されます。
(2)期限の利益喪失通知
自社が取引先に対して有する債権が全て支払期日を経過しているのであれば、督促状(催告書)の送付で事足りますが、取引先に対して有する債権の中に、期限未到来の債権がある場合には、「期限の利益」により、当該債権を債務者に対して請求することができません。
支払遅延先に対して回収行為を行う際には、多くの場合、相手先に対する全ての債権について回収を図ろうと考えますので、期限未到来の債権に対しても請求可能な状態にすることが必要です。
契約書に「期限の利益喪失条項」を設けておけば、取引先が支払遅延状態になった場合に、期限の利益の喪失によって、取引先に対する全ての債権に対して期限を到来させ、請求可能な状態にすることが可能です。期限の利益の喪失には、当然喪失と請求喪失の二種類があり、契約書に定めることで、使い分けることができます。当然喪失は、一定の条件を満たした場合に、自動的に期限の利益が喪失されることになりますが、請求喪失では、「期限の利益喪失通知」を送達して初めて期限の利益を喪失させることができます。
「期限の利益喪失通知」は配達証明付内容証明郵便にて送付する必要があります。内容には①契約内容、②請求内容、③支払期限に加え、期限を超過しても支払いが行われない場合は、期限の利益を喪失させ、一括返済を請求する旨を記載します。
(3)内容証明郵便
1.書き方
横書きの場合は、①1行13文字以内、1枚40行以内または、②1行26文字以内、1枚20行以内で、縦書きの場合は、①1行20文字以 内、1枚26行以内で作成しなければなりません。
2.送付方法
作成した文書と同一文書(謄本)2通の合計3通を内容証明料と共に郵便局へ提出します。内容証明郵便を取扱う郵便局にて、全ての文書に差出年月日、郵便局長名、通信日付が記載され郵送されます。謄本のうち1通は郵局が保管され、もう1通は差出人に返却されます。複数の宛先に送付する場合は、送付する人数分の文書を用意する必要があります。なお、内容証明郵便は当該文書が差出されたことおよびその日付を証明することができますが、その文書が宛先人に送達されたことは証明できません。したがって、送付する際は郵便局に配達証明の請求を行い、配達時期を明らかにします。