会社分析のポイント(2)~設立/・資本金・代表者氏名・住所・営業種目~

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会社分析のポイント(2)~設立/・資本金・代表者氏名・住所・営業種目~

                                     リスクモンスター株式会社 メルマガ事務局
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 <CONTENTS>
   ■与信管理講座「企業の評価ポイント」(第2回)
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      ◆◆関連部署等にもご回覧頂き、基礎知識の習得にお役立て下さい。◆◆
    ◇◇バックナンバーは、画面右の「最近の記事」からご覧になれます。◇◇
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            ~与信管理講座「企業の評価ポイント」~     
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前回に引き続き、書籍『日本を元気にするリスモン式与信管理力』(2010年4月発行)をもとに
会社分析の評価ポイントをご説明してまいります。 


第2回:会社分析のポイント(2)

今回は、【図表2-1】の15項目の企業情報のうち、⑤設立年月⑥資本金⑦代表者氏名・住所
⑧営業種目
における与信管理上のチェックポイントを説明してまいります。


【図表2-1】

⑤設立年月  

 
a. 設立してどのくらいたつか?
設立年月は会社が作られて営業を開始した年月のことですので、ここからわかることを
端的に言えば「その会社が古い会社なのか、新しい会社なのか」ということになります。
 
一般的に古い会社と新しい会社のどちらが与信管理上のリスクが小さいと考えられるでしょうか?
設立年月という観点から見た場合には、通常古い会社のほうが与信リスクは小さく、
新しい会社のほうが与信リスクは大きいということが言えます。
というのは、設立して間もない
会社の場合、仕入・販売基盤が安定的に確立していないため、市況の悪化を受けやすいこと、
設立後数年程度は赤字経営が続く傾向が強いことなどが考えられるからです。また、過去の利益が
ないため、自己資本は資本金程度しかなく財務体質が脆弱であろうこともリスクにつながります。 


. ビジネスモデルが老朽化していないか? 
一方、設立してから何十年と経過し現在も生き残っている会社は、一定の受注基盤を
継続的取引先として確保しているため、大きな伸びは期待できない可能性が高い分、
売上が急減するリスクも小さいと言えます。またこれまで営業を重ねてきた結果、
内部留保(企業の利益のうち、配当金や役員賞与として社外に流出した分を差し引いたもの。
会社内部へ再投資することで蓄積される)が積み上がって自己資本が充実している可能性が
新興企業よりも高いということも、古い会社のほうが評価できる要因です。 

しかし、そうした老舗企業だからといって、決して倒産しないというわけではありません。
あまりにも現在の社会経済情勢から遅れたビジネスモデルのままの企業、業歴に比べて
財務内容が充実していない会社、設立後何十年と経過しているのにも関わらず受注基盤が
安定していない会社は、すでに信用状態が悪化している傾向が見られるものです。そうした場合、
むしろ新興企業よりもリスクの大きい会社として評価することが妥当です。 

 

【チェックポイント】 

●設立後5年に満たない業歴の浅い企業ではないか?
 

⑥資本金
 

a. 資本金は300万円以上か? 

資本金については、まず現在の絶対額を確認してみましょう。
ここで現在の資本金額が300万円を下回るようであれば要注意です。 

会社法改正までは最低資本金額について有限会社は300万円、株式会社は1千万円と
されていましたが、改正後には最低資本金額の規制が廃止となり、資本金がたとえ1円でも
会社が設立できるようになりました。しかし、資本金1円で株式会社が設立できる今、
かえって資本金の大きさは一つのステータスになります。したがって、資本金が300万円未満
の会社というのは、会社法改正前には株式会社どころか有限会社も作るだけの資金が用意できず、
会社を設立できなかった可能性があります。 
このように資本金が極端に少ない会社の場合、
設立当初から資金的な余裕がなかったという判断をせざるを得ませんので、300万円の資金を
最初から用意できた会社に比べて、与信管理上のリスクが大きいと評価することになります。 

 

. 継続取引の場合には 

継続的取引先については、ほかの項目と同様で定期的に資本金額の推移を観察していく方法が
有効です。例えば、たびたび増資の傾向が見られる場合、会社の事業が順調に拡大していることを
株主が評価して追加出資に応じている可能性が高いと考えられます。 

ただ、資本金額の推移で注意しなければならないのは、極端に増資や減資が繰り返されて
いるような場合です。このようなケースでは、業績不振の結果、債務超過寸前になっていることなどが
考えられます。債務超過を解消するために増資を行なったり、不良債権などの大規模な資産リストラを
進めるために減資を行なったりすることがあるからです。 
このような場合、その会社の財務状態や
業績面が悪化している可能性が高く、成長に応じて資本金が徐々に増資されている会社に比べて、
与信上のリスクは高いと考えられます。 

 

【チェックポイント】 

●会社設立時の資本金は300万円未満ではないか? 

●5年以内に極端な増減資を行っていないか?
 

⑦代表者氏名と住所
 

a. 代表者の資産背景は?
会社に目ぼしい資産がなく、銀行が融資の際に担保にできるものがないとしましょう。
しかし、代表者が資産家で担保価値のある不動産を所有しているような場合、
銀行は代表者一族の資産背景を評価し、その資産を担保とすることによって、
融資を行うということがあります。また、代表者一族に相応の資産的な余力がある場合には、
会社が赤字などで財務状態が悪化したり、資金不足に陥ったとしても、代表者一族の
個人資金を追加出資したり、会社に貸し付けることによって、会社の財政上の危機を
乗り切ることができるでしょう。 

代表者の資産状態を評価するには、代表者住所情報が役立つことになります。
これは、商業登記簿で知ることができます。代表者の自宅がわかれば、該当地の
不動産登記簿をとって、代表者の自宅が持ち家どうか、持ち家ならば資産価値はどれくらいか、
根抵当などの担保が付いていないか、といった点から代表者の資産背景を評価することができます。 

まず該当する土地の所有者を確認し、所有者が代表者かその一族であった場合には該当地の
路線値から土地の時価総額を算出します。併せて、担保がついているか、担保が付いている場合、
担保総額はいくらかを確認し、土地に資産価値が残っているかどうかを評価していきましょう。

代表者所有の自宅が無担保で手付かずのまま残っている場合と土地の資産価値を上回る
担保設定がされている場合を比べれば、当然後者のほうをより低い評価とすることが妥当となります。 

 

. 継続取引の場合には 

継続取引の場合、ほかの評価ポイントと同じように半年から1年に1回程度、
代表者および役員の氏名と代表者住所について評価し直すことが重要です。代表者や役員が頻繁に
交代している場合や新たに担保設定がされている場合、以前確認したときには代表者所有であったはずの
自宅が売却されている場合などは、信用状況が悪化していると捉える必要があります。 

 

【チェックポイント】 

●代表者および役員が2年以内に複数回交代していないか? 

●代表者自宅は代表者所有地か? 

●代表者自宅が代表者所有地の場合、時価を上回る抵当権・根抵当権が設定されていないか?
 

⑧営業種目

 

a. 事業内容が取引内容と一致しているか? 

まずは調査対象となる会社の事業内容と自社が取引する内容が一致しているかどうかを確認してみましょう。
その会社の営業種目に一致しない取引は、場合によっては無効とされることもあります。
また、取込詐欺などの違法目的で休眠会社を買い取り、その会社の営業種目を変更しないで
取引を持ちかけてきているというケースも考えられるため、注意が必要です。 

 

. ホームページの事業内容と商業登記簿の目的は一致しているか? 

自社で行う取引内容と相手の営業種目がおおむね一致していることが確認できたら、
企業ホームページの事業内容と商業登記簿の目的部分が一致しているか、確認をしてみましょう。 

通常であれば、企業ホームページの事業内容と商業登記簿の目的は当然一致するはずです。
一致しない場合には、先ほど述べたようなたちの悪い関係者が会社を悪用するために
休眠会社を買い取っていたり、悪用目的でないにしても事業が安定していないため
頻繁にあれこれと新しい事業に手を出してホームページや登記簿の変更が追いついていないなど
ということが考えられます。このようなケースでは、企業ホームページや商業登記簿に
きちんと実態通りの事業内容が掲載・登記されている会社に比べて、信用度が低いと判断せざるを得ません。 

 

. 会社の属する業界や市場環境はどうか? 

事業内容が一致しているかどうか確認ができたなら、次はその会社が属している市場環境、
業界動向を検討してください。 
例えば、公共事業や内需依存の市場環境などのように市場が
衰退傾向にあったり、調査対象となる会社の主力製品が業界内で価格競争が激しい製品であったり、
新規参入や新商品・サービスなどの出現によって競争が激化する可能性があったり、
景気などの市況変動の影響を受けやすい業界だったりする場合には、注意が必要です。

このような場合、将来的に収益力が悪化したり、現在の段階ですでに業績の安定性が損なわれている
可能性があります。こうした市場・業界に属している会社というのは、安定した伸びを確保している
業界に属する会社に比べて低い評価を与えざるを得ないのです。 

 

. 継続取引の場合には 

継続取引先の場合にも、定期的な情報収集と情報確認が有用であることは他項目と同様です。 

営業種目では、企業ホームページと商業登記簿における記載が前回調査した時と
変化していないかどうかを確認しましょう。 
この時、取引先である自社になんの連絡もなく、
突如として事業内容や目的を変更している場合には、取引先に十分確認を取ってください。
取引先の返答が要領を得ない説明に終始している場合には、これまで説明してきたような
不審な事情がある可能性が高いと言えますので、評価に反映させることが必要です。 

 

【チェックポイント】 

●自社との取引内容がホームページの事業内容、商業登記簿の目的に一致するか? 

●ホームページの事業内容と商業登記簿の目的が内容的に一致するか? 

●所属業界が全体的に縮小傾向にないか? 

●所属業界が新規参入や新商品・サービスなどの出現によって競争が激化する可能性はないか? 

●継続取引先の場合、自社に連絡もなく突然事業内容や目的を変更していないか? 

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【著者】リスクモンスター データ工場

会社の格付データの更新を中心業務として行うことに加え、与信管理サービスの
企画・開発や、会員企業の与信管理支援コンサルティングサービスの提供まで
担当する、いわばリスクモンスターの“心臓部”。
分かりやすく精度の高い情報を、お客様により早く提供することをモットーにしている。
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