調査結果発表:第1回「賃金引上げに関するアンケート」調査(リスモン調べ)
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リスクモンスター株式会社
データ工場
第1回「賃金引上げに関するアンケート」調査
日本労働組合総連合会が4月17日に発表した今春闘の第4回回答集計結果によれば、2025年の平均賃上げ率は5.4%となり、2024年(5.1%)に続いて5%台の高水準を維持している中、実際に働く人々の昇給実態を調査すべく、第1回「賃金引上げに関するアンケート」調査を実施した。
【アンケート回答者の属性】
|
(人) |
20代 |
30代 |
40代 |
50代 |
合計 |
|
男性 |
100 |
100 |
100 |
100 |
400 |
|
女性 |
100 |
100 |
100 |
100 |
400 |
|
計 |
200 |
200 |
200 |
200 |
800 |
|
(人) |
計 |
中小企業 |
大企業(非上場) |
大企業(上場) |
公務員 |
|
計 |
800 |
439 |
123 |
184 |
54 |
|
一般社員 |
582 |
342 |
85 |
126 |
29 |
|
主任・係長 |
135 |
60 |
23 |
36 |
16 |
|
管理職(課長以上) |
83 |
37 |
15 |
22 |
9 |
※本アンケート調査は、直近2年間同一企業にて勤務している人のみを対象とする。
調査結果
[Q1] 直近1年間の給料増減
1年前の給料からの変化を聞いたところ、約半数が「変わらない」(回答率49.9%)、3人に1人が「上がった」(同33.0%)、約1割が「下がった」と回答した。勤務先別でみると、公務員や大企業では給料が上がりやすく、中小企業では給料が下がりやすい傾向が表れており、企業規模と給料の増減には相関性があるといえる。(図表A)
また、給料が「上がった」と回答した人に対して、その賃上げ率を調査したところ、平均賃上げ率(約5%)以上の昇給は、全体の7.2%に留まっていることが明らかとなった。春闘の集計対象が大企業であることを考慮すれば、「全体の昇給状況」と「春闘における平均賃上げ率」に差異が生じることは想定の範囲内といえるが、実態として、約半数において昇給が行われていない状況からは、春闘における平均賃上げ率5.4%には遠く及ばない状態となっていることが読み取れる。(図表B)


[Q2] 昇給理由(属性別)
昇給理由を調査したところ、「職歴・評価等に基づく定期昇給」(回答率72.0%)が最も多く、次いで「物価高等によるベースアップ」(同37.9%)と続いた。勤務先の規模を問わず、7~8割の企業において「職歴・評価等に基づく定期昇給」が行われていることが確認できた一方で、「会社業績によるベースアップ」に関しては、報酬が会社業績に連動しやすい役職者や、近年の業績が好調な大企業において実施されやすい傾向にあることが表れている。また、「物価高等によるベースアップ」では、中小企業(同29.7%)と大企業(同47.5%~48.0%)では、約20ポイントの差が生じており、物価上昇に対する賃上げの取り組み状況に大きな差があることが明らかとなった。(図表C)

総評
円安などの影響から物価高が進み、賃上げが求められている中、春闘の平均賃上げ率(5.4%)は、2025年3月の物価上昇指数(3.6%)を上回っており、一見すると、大半の企業において物価上昇以上の賃上げが行われているようにみえるが、本調査結果によって、5%以上の賃上げとなっている人は全体の1割にも満たず、半数以上において昇給が物価上昇に追い付いていない実態が明らかとなった。
そ の理由としては、賃上げが進んでいる大企業層では、為替差益等によって業績が良好な状態となっているのに対して、中小企業層にはその余波が届いておらず、賃上げのための利益確保に至っていないことが考えられる。
賃上げは、企業にとって固定費の増加となるため、売上増加やコスト削減が伴わなければ減益要因となる。業績改善の努力は、各企業が行うべきものではあるが、大企業に比べ収益力が乏しい中小企業層にまで賃上げを浸透させるためには、政府主導の景気対策も必要と考えられる。企業活動に対する政策支援によって、日本経済全体が活性化し、労働者の賃上げにつながることを期待したい。

