調査結果発表:第1回「コンプライアンスチェックに関する意識」調査(リスモン調べ)
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リスクモンスター株式会社
データ工場
第1回「コンプライアンスチェックに関する意識」調査結果
企業におけるリスク管理の重要性が高まる中で、コンプライアンスチェック、とりわけ反社会的勢力(反社)との関係排除に対する意識は年々高まっている。万が一、反社との関係が明るみに出た場合、それがたとえ意図しないものであっても、企業の信用や事業継続に甚大な影響を与えるリスクがあるため、コンプライアンスチェックは企業活動における不可欠な取組みとなっている。かかる中で、企業におけるコンプライアンスチェックの実態を調査すべく、第1回「コンプライアンスチェックに関する意識」調査を実施した。
調査結果
[1]コンプライアンスチェックの実施状況
調査対象企業に対し、取引先に対するコンプライアンスチェックを実施しているか聞いたところ、「実施している」(回答率82.0%)が8割を超過し、「実施していない」(同18.0%)を大幅に上回った。(図表A)
業種別では、「サービス業」において、9割近い企業がコンプライアンスチェックを実施していることが分かった。(図表B)


[2]コンプライアンスチェックの割合
「コンプライアンスチェックを実施している」と回答した企業(164、うち未回答2)に対して、取引先全体のうち、何割の企業をコンプライアンスチェックの対象としているか聞いたところ、「80%以上」(回答率68.5%)が最も多く、次いで「50%以上80%未満」(同10.5%)、「10%未満」(同10.5%)となった。コンプライアンスチェックを実施している企業のうち、約8割は取引先の半数以上をチェック対象としており、3社に2社は取引を行うほとんどの企業をチェック対象としていることが分かった。(図表C)
業種別では、サービス業において、取引先全体の「80%以上」に対してコンプライアンスチェックしている企業が75%にのぼった一方で、製造業では47.2%に留まっている。業界によって取引先の多寡が異なるため、取引先数が多い業界の方が網羅的な実施が難しくなる面は否めないが、取引先数が多くなりやすい建設業でも66.7%が「80%以上」を回答していることから、コンプライアンスチェックに対する意識についても業界ごとに差があるものと考えられる。(図表D)


[3]コンプライアンスチェックの課題
「コンプライアンスチェックを実施している」企業(164、うち未回答38)に対して、当該業務の課題について聞いたところ、「コストがかかる」(回答率38.9%)が最も多く、次いで「担当者の経験や判断に依存しており、チェックの質にバラつきがある」(同31.7%)、「チェックの手順やルールが明文化されていない」(同24.6%)と続いた。
[2] において、取引先に対して網羅的にコンプライアンスチェックの対象としている企業が多いことが表れているが、その反面、多くの企業に対してコンプライアンスチェックを行うためのコストが負担となっているものと考えられる。また、コンプライアンスチェックにおける判定基準やルールが整っていない点について、課題を抱える企業が多い様子も表れた結果となった。(図表E)

[4]コンプライアンスチェックを実施していない理由
「コンプライアンスチェックを実施していない」企業(36、うち未回答3)に対し、実施していない理由を聞いたところ「必要性を感じていない」(回答率51.5%)が半数を超えました。必要性を感じている企業と、[1]のコンプライアンスチェックを実施している企業を合わせた場合に、約9割の企業が、コンプライアンスチェックの必要性を感じていると言えます。
「コンプライアンスチェックを実施していない」企業のその他の理由としては、「チェックに必要なノウハウや経験が社内にない」(同39.4%)、「取引先との関係性に配慮して実施しにくい」(同24.2%)など、コスト面よりも「ノウハウや経験の不足」の方が課題視されていることが明らかとなった。(図表F)

総評
今回の調査結果からは、約8割の企業がコンプライアンスチェックを実施しており、その多くが取引先企業の8割以上をチェック対象としている実態が明らかとなった。これは、反社会的勢力との取引をはじめとするコンプライアンス違反が、企業経営において時には事業継続をも危ぶませる重要な事象となっており、企業がそのリスクを未然に防ぐことに注力している表れといえる。
他方で、広範囲の取引先をチェック対象とすることでコスト面の負担が増加していることや、コンプライアンスチェックの作業手順が定まっていないこと、作業担当者の業務スキルが醸成されていないことが課題として捉えられており、企業として効率的かつ効果的なチェック体制の整備が求められていることも浮き彫りとなった。
今後も企業のコンプライアンスに対して、社会全体の監視がさらに厳しくなっていくことが予想される中においては、コンプライアンスチェックは、企業の重要な活動の一つとなると考えられる。また、実効性のあるコンプライアンスチェックには、企業存続に関わるリスクを回避する効力を有している。それらを踏まえ、企業には形式的な実施に留ることなく、実効性のあるコンプライアンスチェック運用を目指して、効率的な社内ルールの構築に取り組んでいくことをお勧めしたい。
【調査期間】 2025年5月14日~21日
【アンケート回答者の属性】
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(人) |
建設業 |
製造業 |
小・卸売業 |
サービス業 |
その他 |
合計 |
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計 |
13 |
48 |
40 |
63 |
36 |
200 |

