調査結果発表:「大阪・関西万博による景気動向」調査(リスモン調べ)

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「大阪・関西万博による景気動向」調査

 

 大阪で55年ぶりの開催となった「2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)」は、約6か月間にわたり国内外から多くの来場者を集め、地域経済や観光、関連産業など多方面に影響を与え、2025年10月13日に閉幕を迎えた。盛況のうちに幕を閉じた「大阪・関西万博」であるが、周辺経済にどのような影響を与えたのかを調査すべく、関西圏の企業に対して、第1回「大阪・関西万博による景気動向」調査を実施した。

 

【調査期間】 2025年10月31日(金)~11月5日(水)

 

 

調査結果

[1]大阪・関西万博開催後の自社の業績変化(地域別・企業規模別・売上高規模別)

 大阪・関西万博開催による自社業績の変化について調査したところ、半数以上が「変化なし」(回答率55.3%)、4割近くが「良化」(同37.0%)と回答しており、企業の業績改善に寄与した様子がうかがえる。
 地域別に「大阪府」の企業と「大阪府以外」の企業の回答率を比較すると、「大阪府」の方が、「良化」(同42.3%)が11.7ポイント高く、「悪化」(同12.8%)は9.2ポイント低い結果となっており、万博開催の恩恵は関西圏全体に影響しながらも、開催地である「大阪府」において特に好影響が表れていることが明らかとなった。
 また、売上高規模別では、売上高規模が大きくなるほど「良化」の回答率が高くなる傾向が顕著に表れていることから、企業規模が大きいほど万博関連事業との関係が深く、経済効果を直接的に得られた可能性が高いと考えられる。(図表A)

 

[2]大阪・関西万博開催後の自社の業績変化(業種別)

 業績の変化を業種別にみたところ、「良化」割合が高い業種としては、「サービス業」や「建設業」、「小売業」が挙げられる。「サービス業」や「小売業」においては、万博来場者によって生み出される消費や関連キャンペーンを通じた売上高拡大が業績を押し上げ、「建設業」においては、周辺の交通インフラ整備や開催地の施設建設などの特需が業績を良化させたものと考えられる。
 その一方で、「卸売業」のように万博開催によって業績が「悪化」した企業が多い業種も存在しており、万博開催は、企業にメリットだけでなく、デメリットももたらしたことが浮き彫りとなった。(図表B)

 

[3]今後の関西経済の見通し(業績変化別)

 今後の関西圏の景気見通しについて調査したところ、「変化なし」(回答率73.3%)が最も多く、「良化」は12.3%に留まるなど、慎重な意見が多く表れている。
 自社の業績動向別にみると、業績が「良化」した企業では、約2割が景気見通しについても「良化」(同21.6%)と回答しており景気見通しが明るい傾向があるのに対して、業績が「悪化」した企業では、過半数が景気見通しも「悪化」(同58.1%)と回答しており、万博開催でも業績が好転しなかった現状を踏まえた将来への不安感が強く表れた結果となった。(図表C)

 

総評

 大阪・関西万博は、開催中の来場者数が当初目標を上回り、盛況のうちに幕を閉じた。本アンケートの結果によると、企業の4割近くが「業績が良化した」と回答するなど、万博そのものが成功しただけでなく、開催地域の経済にも好影響を及ぼしており、万博誘致の目的である経済効果においても一応の成功といえるのではないだろうか。
 他方で、万博の経済効果はすべての業種や企業に等しく及んだわけではなく、売上高規模が大きい企業や一部の業種に偏って効果が表れていたり、業績悪化企業においては、今後さらなる悪化を予想しているなど、成功と評される裏側に、課題を残していることもうかがえる。その「光」と「影」を理解した上で、今後、万博跡地に予定されている統合型リゾート(IR)等の開発においては、その恩恵がより広い地域、多くの企業や人々に及ぶように計画されることを期待したい。

 

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