どこよりも早い「2025年倒産動向レポート」
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1.はじめに
リスクモンスターにて独自に収集した倒産情報に基づき、「どこよりも早い※」2025年の倒産速報をお届けするために、本レポートを執筆したものである。速報性を重視するため、2025年の倒産実績は、2024年12月から2025年11月までに発生した倒産に基づいて集計しており、過年度においても同一期間にて倒産件数を集計している。※当社調べ(2025年12月5日現在)
2.集計結果
【1】 年別倒産件数推移
2025年の国内法人の倒産件数は、7,898件となり、前年(7,538件)から4.8%の増加となった。コロナ禍のセーフティネット政策によって、2021年に倒産件数は大幅に減少したが、2022年以降は増加を続け、2025年には直近10年間で最多件数に至っている。(図表A)

【2】 業種別
業種別では、18業種中11業種で前年を上回った。「その他」を除くと、「卸売業、小売業」(1,614件 前年比+131件)、「不動産業、物品賃貸業」(299件 同+46件)、「サービス業」(400件 同+38件)、「製造業」(1,095件 同+35件)において、倒産件数の増加が目立っている。倒産増加の要因としては、物価高騰とそれに対する価格転嫁難が挙げられる。物価高騰による原価上昇に対して、利益確保のためには販売価格への転嫁が必要となるが、値上げは顧客離れにもつながりうることから、その影響を受けやすい小売業において、収支が悪化し倒産に至った企業が増加したものと考えられる。
他方で、「運輸業、郵便業」(282件 同▲47件)において、倒産件数が前年から最も減少している背景としては、高騰した燃料価格の運賃への転嫁が徐々に浸透したことや、2024年4月や2025年6月の法改正により、労働環境の整備や適正運賃・料金の設定が進んだことによって、業界全体の経営環境改善につながったものと推測される。(図表B)

【3】 地域別
地域別の倒産件数としては、9地域中5地域において前年を上回った。「関東」(3,174件 前年比+149件、104.9%)、「関西」(1,399件 同+121件、109.5%)において、100件以上の増加が生じているほか、「北陸」(281 同+44件、118.6%)においては、増加数は40件台ながらも、増加率が最も高く、倒産リスクが高い地域であることが表れている。
都道府県別では、29の都道府県において倒産件数が前年を上回っており、「愛知県」(498件 同+65件、115.0%)、「東京都」(1,561件 同+60件、103.8%)における倒産件数の増加や、「福井県」(52件 同+18件、152.9%)、「徳島県」(50件 同+16件、147.1%)における倒産増加率の高さが目立っている。その一方で、16の都道府県において倒産件数が前年を下回っており、特に、「福岡県」(329件 同▲29件)、「広島県」(148件 同▲26件)における倒産の減少が目立っている。(図表C)

【4】 倒産形態別
倒産形態別にみると、「法的倒産」がほとんどを占めており、手続きの種類としては、「破産」(7,439件)が全体の94.2%を占めている。「特別清算」(303件)を含めると「清算型」倒産手続きが全体の98%となり、「民事再生」や「会社更生」の「再建型」倒産手続きは、1%未満に留まっている。(図表D)

【5】 売上高規模別
売上高規模別の倒産件数としては、売上高が判明している3,078件のうち、「10億円未満」(構成比94.8%)の中小・零細企業が約95%を占め、「1億円未満」(同52.3%)の零細企業だけで半数を占めている。一方で、「100億円以上」の倒産はほとんどみられない。
倒産企業の約6割を占めている売上高不明企業に関しては、情報開示姿勢の観点から中小・零細企業である可能性が高いと考えられるため、全倒産企業7,898社を対象にした場合でも、上記の分布とほぼ遜色ないものと思料される。(図表E)

【6】 業歴別
業歴別の倒産件数としては、設立から10年単位での倒産件数を比較すると「0年~9年」(構成比24.4%)の層が最も多く、「10年~19年」(同22.8%)と合わせて業歴19年以内で半数近く占めている。
「0年~9年」においては、「0~2年」(構成比0.7%)、「3年~4年」(同4.2%)、「5年~9年」(同19.5%)の順で徐々に構成比が高くなっており、設立10年に向かう中で、淘汰される企業が増加していく様子が表れている。
また、「50年以上」(同11.0%)の老舗企業においては、10年単位での比較では最も倒産割合が低く、経営が安定している企業が多い様子がうかがえる。(図表F)

【7】 格付別
リスクモンスターが提供する信用格付別の倒産件数としては、「低位格付」(3,851件 構成比94.8%)において、約95%を占めている。倒産確率においては、低位格付先(倒産確率0.30%)は上位格付先(同0.002%)の150倍以上高く、低位格付先は倒産リスクに注意を要することがわかる。(図表G)

【8】 信用不安情報別
信用不安情報の有無別では、倒産企業の約半数(構成比45.7%)の企業において、過去に何らかの信用不安情報が出回っており、倒産企業の1割以上が「1年以内」(同11.6%)に信用不安情報を入手していることがわかった。(図表H)

倒産企業のうち、1年以内に信用不安情報を入手した企業において、信用不安情報の内容と入手から倒産に至る期間を集計したところ、期間別においては、「6か月超1年以内」(構成比36.0%)が最も多かった一方で、「1か月以内」(同26.1%)の倒産も4分の1を占めていることが明らかとなった。
情報種類別にみると、資金繰り難が表面化している「支払関連」や連鎖倒産のリスクが生じる「貸倒れ」において、「1か月以内」に倒産する割合が高いため、それらの情報入手時には、速やかな警戒対応が必要といえる。(図表I)

3.総評
2022年以降、倒産の増勢が続いており、2025年では過去10年間で最多の倒産件数を記録した。これまでは、コロナ禍の中小企業支援策である「ゼロゼロ融資」を受けた企業における返済難による倒産が目立っていたが、2025年においては、物価高騰によって売上高や利益の維持が困難となり、資金繰り破綻に至る企業の増加がうかがえる。
今回の倒産動向分析では、財政面が脆弱になりやすい中小・零細企業や、設立後10年に向かっていく途上の企業などにおいて倒産が発生しやすいことや、「支払関連」や「貸倒れ」などの信用不安情報が発生している企業が短期間で倒産に至りやすいことなどを読み取ることができた。企業の審査担当者においては、これらの傾向を踏まえ、与信管理業務の精度向上につなげていただきたい。

